顧問弁護士は高い?費用体系と費用相場について解説

顧問弁護士を依頼する際に気になるのが費用の相場ではないでしょうか。平成16年以前は弁護士会が弁護士費用の基準を定めていたため、どの弁護士と顧問契約を締結してもそれほど大きく費用が変わりませんでした。

ところが、いまは各弁護士が自由に弁護士費用を決めることができるようになっています。このため、依頼する弁護士によって顧問料の金額や計算方法、顧問料の範囲内で対応する業務などはかなり異なります。

そこで、顧問弁護士と契約した場合の弁護士費用(顧問料)の決め方や顧問料の相場について解説します。

顧問弁護士の費用体系

顧問弁護士の費用体系は、固定報酬制とタイムチャージ制に大きく分けられます。また、固定報酬制を原則としつつ、契約で定められた対応時間数を超過した場合にはタイムチャージにより超過分の費用を加算する折衷型の費用体系もよくみられます。

固定報酬制

固定報酬制とは、「月額○万円」というように毎月決まった金額の顧問料を支払うものです。弁護士と顧問契約を締結する場合、通常は固定報酬制です。固定報酬制の場合には、顧問弁護士に依頼する業務がその月に発生したか否かを問わず、会社は顧問料を支払うことになります。

弁護士名による内容証明郵便の作成や訴訟対応など、顧問弁護士が会社の代理人として案件処理にあたる場合には、顧問料とは別に弁護士報酬が発生することがあります。もっとも、顧問契約のある会社からの依頼であれば、通常料金よりも割引する仕組みを採用している弁護士が多いようです。

タイムチャージ制

タイムチャージ制とは、毎月の顧問弁護士の対応時間数に基づいて顧問料が計算される仕組みであり、変動報酬制ともいえます。このため、顧問弁護士に依頼する業務が発生しなかった月は顧問料を支払う必要がありません。

タイムチャージ制は固定費を抑えたい会社や毎月の業務量の変動が大きい会社にとっては、合理的な弁護士費用の決め方にも思われます。

しかし、一般的にタイムチャージ制では、固定報酬制よりも同一の業務量に対する弁護士費用が高く設定されています。このため、タイムチャージ制の方が顧問弁護士に支払う費用を抑えられるとは限らない点に注意が必要です。

顧問弁護士の費用相場

顧問弁護士に依頼した場合の費用の相場について、固定報酬制とタイムチャージ制にわけて説明します。

固定報酬制の費用相場

固定報酬制の場合には、タイムチャージ制と比べて比較的相場がはっきりしています。

顧問料の相場は月5万円

固定報酬制における顧問料の相場は月5万円といわれています。これは、平成16年まで弁護士費用の算定基準として用いられてきた「日本弁護士連合会報酬等基準」において、事業者の顧問料は月額5万円以上と定められていたためです。

この日弁連の報酬基準自体は既に廃止されており、いまは弁護士が自由に弁護士費用を決めることができます。しかし、実際には現在でも従来の日弁連の報酬基準を踏まえて弁護士費用を算定している弁護士が多いため、顧問料を月5万円に設定しているケースが多いのです。

もっとも、最近ではスタートアップ企業など小規模事業者が顧問弁護士を活用しやすいように、月1~3万円程度の従来の相場よりも安価な顧問料を提示する弁護士も増えてきました。

安価な料金プランで固定費を抑える

スタートアップ企業や小規模の事業者の場合には、当面の固定費の負担を下げられるように、まずは月1~2万円程度の安価な顧問サービスを提供している弁護士を探すとよいでしょう。

その後、事業の規模が拡大するにつれて、顧問弁護士に依頼すべき業務の内容も増えていきます。その時点でより多くの業務量に対応する料金プランに変更していくことがおすすめです。

その意味では、ベンチャー企業など事業規模の拡大を目指す会社の場合には、複数の料金プランが用意されていて業務量の増大に対応できる弁護士かどうかも重要なポイントとなるでしょう。

固定報酬制を採用している弁護士の多くは、毎月の顧問料の範囲内で対応できる業務内容や対応時間の上限を契約で定めています。料金プランが複数ある場合には、各プランの料金の範囲内の業務内容などを確認し、自社の規模や業務量にあったプランを選択することが大切です。

タイムチャージ制の費用相場

顧問契約がタイムーチャージ制の場合には、毎月の顧問料は以下の計算式で算定されることが通常です。

顧問弁護士の対応時間数 × 顧問弁護士の単価

タイムチャージ制における顧問弁護士の単価は、1時間あたり1万円から10万円以上と弁護士によって大きな幅があります。離婚や相続などのいわゆる一般民事を主な取扱業務としている弁護士の場合には、1時間あたり1万円であることも多いようです。

これに対して、例えばIT企業向けの法務サービスに特化したような専門性の高い弁護士の場合には、1時間あたりの単価が5万円を超えることも珍しくありません。

また、四大法律事務所と呼ばれる最大手の企業法務専門の法律事務所や外資系法律事務所に所属する弁護士の場合には、さらに高額のタイムチャージが適用されるケースもあります。

顧問弁護士の費用について確認すべきポイント

最後に、顧問弁護士の費用を把握するためのチェックポイントについてまとめておきます。

顧問料の範囲内の業務を確認

上でも説明したとおり、弁護士と顧問契約を締結する場合には顧問料の範囲内で対応する業務が定められることが通常です。

どの程度の対応時間数が上限となるか、また顧問料とは別に弁護士費用が発生するのはどのような業務かなどを事前によく確認する必要があります。

トラブル対応が多い会社は割引制度を確認

内容証明郵便の作成や訴訟の対応など、トラブル対応を弁護士に依頼する機会の多い会社は、顧問先に対する弁護士費用の割引制度があるのかを確認しておくとよいでしょう。

タイムチャージの計算方法を確認

顧問弁護士の費用の計算にタイムチャージ制が取り入れられている場合には、必ず弁護士の1時間あたりの単価を確認します。なお、弁護士が複数在籍している法律事務所では弁護士の専門性や経験年数などによって弁護士ごとに異なる単価を設定していることもあります。

また、法律事務所によっては、会議に同席した弁護士全員分の費用をタイムチャージにより請求することや、弁護士ではなく事務職員が対応した作業についてもタイムチャージによる弁護士費用の請求に含めることがあります。

このため、タイムチャージ制の場合には会社が想定している以上に弁護士費用を請求されることがあり得ますので、弁護士ごとの単価だけでなく計算方法も確認しておくとよいでしょう。

会社として顧問弁護士に支払える予算額が決まっている場合には、事前に顧問弁護士に対して「月○万円の範囲内で業務を依頼したい」などキャップ(上限額)を提示しておくことも一つの選択肢となります。

まとめ

顧問弁護士を依頼した際にかかる費用の計算方法は、弁護士によって大きく異なります。もっとも、弁護士費用に関しては安ければ良いとは言い切れない点に注意が必要です。

例えば、IT企業向けの法務やIPOやベンチャーキャピタルからの資金調達を目指すベンチャー企業やスタートアップ企業の場合、最先端の法律知識が必要となります。このような法律知識は非常に専門性が高く、弁護士なら誰でも適切に対応できるものではありません。

したがって、会社が顧問弁護士を探す場合には、まず自社のビジネスについて専門的に取り扱っている弁護士であるかを重視した方がよいことが多いでしょう。その上で、依頼したい弁護士が見つかった場合には、契約前に弁護士費用の計算方法などについて十分な説明を受けてから契約を結ぶことが重要です。

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